野良猫みたいな男 ■
不意打ちの笑顔に
思わず顔が熱くなる。
なんなのよ。
「・・・帰る。」
私は思わず
顔を隠すようにガタンと立ち上がる。
「ごめんなさい。
こんな愚痴につき合わせちゃって。」
そうだよね。
こんな愚痴聞きたくないし、
バカみたいな女ーーって思うよね。
三年間も付き合っておいて
その彼にほかに恋人がいるって全然気が付かないなんて。
あ。
なんだか、
自分自身で悲しくなってきた。
ふらりと立ち上がると
そのまま会計へと向かう。
「おい」
ナギサが支えるように私のうでを引いた。
「なに?大丈夫よ。
前のようにはならない・・・」
頭はしっかりさえていた。
いくら飲んでも酔う気がしない。
「ナギサ。今日は私がおごるよ。
付き合わせて…ごめんなさい。」
出来るだけ明るい声で言ったつもり。