野良猫みたいな男 ■


「・・・・名刺がない。」

おっかしいなぁ。
確かに突っ込んだはずなのに…

家に置いたかな~。



ガサゴソと何度か探すけど
お目当ての小さな名刺は一向に出てこない。

はぁ。

仕方がない。
家でもう一度探すとしよう。




お目当ての自宅のアパートが見えてきた。


隣でナギサはふわぁ~と軽く欠伸をする。


「なぁ。オレ、明日 早いんだよ。
 5時な。」


「・・・はっ??」


そして
当たり前のように
鍵を開けて
当たり前のようにスタスタと
室内へと入る。


「ちょっちょっと待ってよ!」

「何?」

「何?じゃないわよ。
 女の子の一人暮らしの部屋に勝手に入るんじゃないわよっ。

 っていうか、
 泊まる気?!」

私の叫びを無視してナギサは
勝手に冷蔵庫を開けて水のペットボトルを取り出す。

「5時な?」

ニヤリとナギサは笑って
ペットボトルの水をグイッと飲んだ。

「----!!!」

もうっ。
冗談じゃない!!!

なんで私がこんな得体のしれない人を
何度も止めないといけないのよ!

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