Devoted Love
第一章
「え・・・?」
私は濡れた髪を拭く手を止めた。
「だから、好きなやつとか居ないのか、って。」
パソコンの画面に映る、何かのアニメのキャラクターをじっと見つめて私は言葉を選んでいた。
「いないよー!なんで?あっ、好きな人でも出来たんでしょー?」
こういう、探り合う感じは嫌いではない。
でも私が知っている”あの感じ”とは違った。
「うん、そう・・・。」
なら、最初から自分で「好きな人が出来た」って言えばいいのに。
なんとなく気付いてた私は、なんなんだろ・・・。
「ふーん。高橋さんでしょ。」
「正解。なんで分かったの?」
ほらね、女の勘ってこういう時に働くの。
自分にとって不利益な事ってなんとなく気付いちゃうんだよ。
私は髪の毛を拭く手をまた、動かし始めた。
「見てれば分かりますよ。」
装う。
今までの私。
今までの関係。
もう、戻れない。