Devoted Love


新幹線で1時間かからない距離。

髪をふわふわにするために、コテと鏡を持って駅に向かった。



平日で空いていた。
出張へ行くのか、サラリーマンの人たちを横目に
いちばん後ろの車両の喫煙席に座った。


発車前にコンセントにプラグをさして、コテを温める。
前の座席についているテーブルに鏡を置いた。




落ち着かない

落ち着かない・・・


そわそわして、何本もたばこに火をつけた。


新幹線が発車して、私はコテに髪の毛を巻きつける。
大きめのコテでゆるく、ふわふわになるように巻いていく。

短く揃えた前髪も、内側にくるんとさせた。



「あちっ」


車両が大きく揺れて、首にコテがあたってしまった。

すぐに離したのに、もう赤くなっているのを鏡で確認した。




最悪・・・

せっかく彼に会うのに



高橋さんはこんなヘマしないんだろうなぁ・・・




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