Devoted Love
「結子!閉めるぞ、もういいから!」
閉店時間を過ぎても私はまだ藤原さんに指示された仕事をしていた。
「先に帰っていいですよ、これだけ終わらせたら後は明日やるので」
いつもは一緒に店を出るけど、仕事が遅いやつとか思われたくないし。
今帰っても、泣くだけだし・・・
電話も、しなくちゃいけないし。
「はぁ~・・・もう!」
藤原さんは背負ったリュックを降ろして、着ていた上着を脱いだ。
「手伝う、っつーか俺がやるからいいや。俺の仕事だし」
そう言って作業を手伝ってくれた。
「だいたいさぁ~、こんなの見て見ぬフリしてた作業だよ。お前も気付いてただろ?なのにクソまじめに進めちゃって・・・俺が出来ない男みたいじゃんか。」
藤原さんはぶつぶつ言いながら、手を止めない。
私もそれを笑って聞きながら、作業を進めた。
それがやっと終わって、帰る頃には閉店から3時間経過していた。
「あ、こんなに遅くまですみません。」
「いや、色んなこと終わったし助かったわ。むしろ3時間で終わった事が奇跡。」
言われたことを進めていると、回りが気になりだして店内全部の掃除まで始めてしまった私たち。
ほこりまみれになって、掃除なんてすきじゃないけど楽しかった。