認めないから!


やり場のない悔しさがこみ上げる。




ガタ…と私は思わず傘立てに足をぶつけてしまった。




「誰だ!?…………あ。」




弥生が私を見て硬直した。


私は急いで走り去る。




「…………弥生の、バカ…」




悔しさ以上に込み上げていたのは悲しさだったのだと走りながら頬を伝う涙で気づいた。



……もう、絶対に一目惚れはしない。


一目惚れは恋だと認めない。


弥生だけは絶対好きにならない。


タラシは…好きになったらダメだ。


好きになるだけ無駄なんだから。




私はそう固く心に刻んだのだった。


―――――

―――――――――――

―――――――――――――――
< 134 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop