ヤンキー少女は純情ちゃん!
「…いや、今もいらないけど…」
すると唯一ドアに寄りかかって見ていた慎弥がいきなりバンッとドアを殴った。
慎弥が感情をあらわにするのは初めて見たからすごくびっくりした。
「お前、矛盾してんだよ。彼氏いらないって言っときながら作ってんじゃねぇかよ」
慎弥がものすごく怒っているのが見て取れて少し動揺したけど、なんとなくみんながなぜこんなこと言うのかが分かった。
思わずくすくす笑うと唯以外の全員から睨まれた。
「……睨むなよ」
「そりゃ睨みたくもなるだろ。人の気も知らないで」
隆斗が言いたいことは分からなかったけど一応弁解することにした。
「…あのさ、みんな唯とあたしが付き合ってるって思ってるみたいだけど、違うから」
「……でも…」
「たぶんみんなが聞いた“好きだよ”はさっきのでしょ?」
「うん…」
「あれは友達として好きってことだから。残念ながらみんなが思ってるようなことじゃない」