「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「・・・わわっ・・私に?」
拓人はふっと笑った。
「他に誰に渡すんだよ。ほら」
拓人は私の手に箱をのせた。
その小さな箱をあけると、
中には、ネックレスが入っていた。
「これ・・・」
焦げ茶色の細い革紐に、
直径3cmほどのシルバーの円盤。
「【星時計】っていうんだろ?」
拓人も隣から覗き込んできた。
私は円盤についているダイアルを、
12月に針を合わせて夜空に向けた。
そして真ん中の穴から北極星を覗き、
中心から伸びているアームの先を、
北斗七星のひしゃくの端にあるα星に合わせると・・・
拓人が自分の左腕についている黒い腕時計を見せてきた。
「合ってる?」
星時計は正確ではないけど、だいたい今の時刻を表していた。
「うん」
私はマフラーを外し、コートの前を開けて、
首に星時計をさげた。
「ありがとう・・・大切にする」
私は星時計を両手で胸に押さえた。
「さっき、花音のお父さんに聞いたんだ。
星が好きな花音に、何をプレゼントしたら喜んでくれるか。
そしたら、お父さんが星時計だって。
即答だったよ」