「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人の首元に頬を寄せると、
ふわっとシャンプーの香りがした。
拓人の髪っていい香り・・・
「花音?」
拓人が私の背中をポンポンと優しく叩いた。
私はもっとぎゅっと抱きついた。
「花音。こっち向け」
また背中をポンポン・・・
私は首を振った。
「向けって」
ちょっと強く腕を引き離されて、
しかたなく拓人から離れた。
「こっち向け」
私は拓人を見つめた。
拓人は私の頭を撫でた。
「帰るぞ」
まるで駄々をこねている子供をあやすかのように、
優しく頭を撫でて、
私の顔を覗き込んだ。
「また来ような」
私はゆっくり頷いた。
ふたり立ち上がり、
森の中の細い道をバス停に向かって歩いた。
足元にあるほんわりとした小さなライトが、
行き先を知らせていた。
拓人が私の手を繋いで、指を絡ませてきた。
あ・・そういえば・・・
「私、何も拓人にクリスマスプレゼント買ってなかった。。」
あぁぁ・・・失敗した。。
「そんなのいいよ」
歩きながら拓人はそう笑った。
「そんな・・・じゃあ今から買いに行こ。
学校のそばのショッピングモールに行こうよ」
拓人は私の前に立った。
「だから、そんなのいいって」
「でも、拓人からもらったのに・・・
私も拓人に・・・」
「だからいいって」
「でも・・・」
「花音」
拓人の顔が近づいてきた。
「気にすんな」
「でも・・・」
拓人は見下すような顔で、もう少し近づいてきた。
「私も拓人に・・・」
「俺に?」
目の前ぎりぎりの拓人が、
すごく色っぽい目で見つめてくるから、
ドキドキした。
「プレゼントをあげたいって・・・」
「いらねーよ」
・・・んっっ・・・
首すじから髪の中に指をすべらせて、
拓人の熱が伝わってくるような激しいキスに、
立っていることも必死で、
拓人にしがみついた。