「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人の部屋に入ると、エアコンの音がし始めたから、
部屋のドアを閉めた。
6畳の私の部屋と同じぐらいの広さだったけど、
床が濃い焦げ茶色のせいか、
とても大人っぽい部屋に感じた。
拓人は机の脇にある本棚から、パンフレッドのようなものを取り出して、
ベッドに腰掛けた。
「俺、この大学を受験しようと思う」
私も隣に座って、そのパンフレッドを見た。
S大学・・・
「学部は?」
拓人は、パンフレッドを指差した。
【教育学部】
「この学部の特別支援教育専修コースに入れば、
小学校教諭1種免許と、特別支援学校1種の免許が取れるんだ。
この大学は、聞き取りにくい学生に、
要約筆記のようなことをしてもらえるらしい。
俺・・・諦めないで頑張ってみるよ」