「1/4の奇跡」左側の君に【完】
私が立ち上がると、
和泉は歩き出した。
「和泉って真面目そうに見えて、
実はギャル系がタイプだったんだな」
休憩中の部員が笑いながらそう言った。
和泉はその言葉を無視して、
どんどん出口へと歩いていった。
扉のところにいる女子たちの間を通り抜ける時、
「なんで、なんで葉月さんと?」
「なんで?和泉くんて葉月さんと付き合っているの?」
「葉月さんって何人の男と付き合ってんの?
和泉くんだけはやめてほしいんだけど」
そんな声が聞こえてきた。
・・・誰とも一度も付き合ったことないっての!!
それでも、和泉は何事もなかったかのように、
どんどん校舎へと歩いていった。
校舎に入ると、やっと和泉がこっちを向いた。
「部室で着替えてくるから、先下駄箱いってろ」
そう言って、下駄箱とは逆方向へと歩いて行ってしまった。
和泉に言われたとおりに、
先に下駄箱へ行って靴に履き替えていると、
遠くからキュッキュッキュッキュッと、
走っている音がした。
そして靴を履き替えて数分もしないで、和泉がきた。
・・・早っ!
息を切らして靴を履き替えている和泉。
待っていた私の横を通り過ぎる時、
「待たしてごめんな・・」
そう、ポツリとつぶやいた。