「1/4の奇跡」左側の君に【完】
花音を駅まで送って、
また、家に戻ろうとした時、
ポケットの携帯が震えた。
・・・病院・・・
それは、耳のことで通院している大学病院からだった。
「もしもし」
【和泉拓人さんの携帯ですか?】
「はい・・・和泉です」
【あ、和泉くん?】
それは、お世話になっている言語聴覚士だった。
【去年受けてもらった検査、やっと結果が出たから、
聞きに来て欲しいんだけど。
できればお父さんも一緒がいいから、
予約いつがいいか、お父さんと相談してみて。
夏休み中がいいかな・・って思うんだけど】
・・・・検査結果・・・・
「どうして・・親父も・・・
悪い結果ってことですか?」
【ああ・・違うの違うの。
結果がどうのっていうわけじゃなくて、
この検査の結果をお知らせする時は、親御さんにもいてもらうっていう
約束があるのよ】
「そうなんだ・・・
あの、それって急いで聞いたほうがいいですか?」
【ううん。べつに急ぎじゃないわ。
いつでもいいのよ。
何か、今すぐ結果を聞いてどうのってことはないし、
いつ聞いても、結果が変わるってことはないから。
和泉くんの気持ち次第よ」
俺は少し考えた。
もし悪い結果だったら・・・
「先生・・俺、
大学受験を考えていて、
正直、今聞くの怖いです」
【そ・・・そっか。
じゃあ・・・落ち着いたらにしようか。
耳は大丈夫?今のところ落ち着いてる?】
「はい・・大丈夫です」
【受験、頑張ってね。
聞こえに何かあったら、すぐに来るように。
じゃあ・・結果は受験が終わった頃って、
先生にも伝えておくわね】
「はい・・・」
++++++拓人side end++++++