「1/4の奇跡」左側の君に【完】
どんどん先に行ってしまう和泉の後を追いかけて、
和泉の隣に並んだ。
隣から和泉の横顔を見上げると、
和泉は真っ直ぐ前を向いていた。
鼻が高くて、
顎のラインが綺麗で・・・
前髪から続くサイドの髪が、
無造作にはねていて、
その下からピアスの穴のあいていない
綺麗な耳たぶが見えた。
「何?」
思わず見惚れてしまっていたら、
和泉がこっちを向いた。
ちょっと見下すような感じで睨まれ、
ドキッとした。
「・・・あ、いや・・・
和泉は嫌じゃなかったのかなって。
あんな事言われて」
私は和泉から目を逸らした。
「あんな事?」
「だから・・・
ギャル系がタイプだったんだな、とか。
私なんかと噂になったら、
和泉に迷惑かかるじゃん」
和泉はしばらく何も言わずに歩いた。
そして口を開いた。
「お前は?」
・・・?
信号が赤で、二人で立ち止まった。
「お前は迷惑?」
真っ正面からそう言われて、
和泉の顔を見上げると、
目が合って・・・
そのまっすぐな瞳に、どうしようもなくドキドキしてしまって、
「迷惑なわけ、ないじゃん!」
・・・って、
思ったよりも大きな声で言ってしまった。