「1/4の奇跡」左側の君に【完】
駅前のエスカレーターにのった。
「出産する心配よりも、まず受験だろ」
「そうだけど・・・」
改札を通り、それぞれをホームへ分かれるところで、
立ち止まった。
「私、いつか拓人の赤ちゃん産みたい」
目の前の拓人の顔がみるみる赤くなっていった。
「ば・・バカか!こんなところで何言って・・・」
「だって、本当にそう思っているんだもん。
いつか絶対に拓人と結婚して、子供を産んで・・・
私、いっぱい子供欲しい。
でも、莉子を見ていると、本当に大変なんだな・・って」
拓人は私の頭を撫でた。
「まだ先の話だろ」
「そう・・・だけど・・・」
拓人は私から手を離した。
「合格するんだろ?」
拓人が私の顔を覗き込んだ。
「うん」
「合格して、天文台に二人で泊まるんだろ?」
「二人で・・・?」
拓人はさらに真っ赤になった。
「二人に・・・決まってんだろ」
「うん!!」
私は大いにはしゃいでしまった。
「だから、ちゃんと勉強して合格しような。
俺は、それを目標として耐え・・いや、頑張ってんだから。
じゃあな」
拓人は自分の髪をくしゃくしゃっとして、
自分のホームへと下りていった。