「1/4の奇跡」左側の君に【完】
ガタガタッと自転車を止めて、
拓人に抱きついた。
「おめでとう・・・拓人」
「うん・・・」
拓人は私の背中をポンポンとした。
私は顔を上げて拓人を見つめた。
「うちに来ない?
お母さんが合格パーティーしようって言ってて」
拓人が私の頬を撫でた。
「パーティー?すげーな」
「あ・・でも拓人の家でもお祝いする?」
拓人はあははっと笑った。
「やんねーよ。
合格したって言ったら「よかったね」で終わりだったよ」
「じゃあ・・・来て欲しいな・・」
拓人は私から離れて、自転車のハンドルを掴んだ。
「じゃあ・・・おじゃまします」
「うん」
拓人が自転車を引いて歩き出した。
隣から拓人を見て、本当によかったって思う気持ちと、
4月には、こんなにすぐには会えなくなる、
遠距離恋愛になってしまうって、
さみしい気持ちがあって、
100%喜ぶべきなのに、
そんな自分がすごく自己中な気がして、
嫌になった。