「1/4の奇跡」左側の君に【完】
将来
自分の部屋のドアを開けると、
もう、薄暗くなってしまっていて、
電気をつけた。
「どうぞ」と拓人に言うと、
「おじゃまします」と、ちょっと頭を屈めて中に入った。
自分の小さな部屋に背の高い拓人がいることが、
すごく違和感というか、変な感じがした。
「超・・花音っぽい部屋だな」
拓人は、天球儀を眺めてくるくるっと回した。
「これね、光るんだよ」
私がパチっと電気を消すと、
薄暗い部屋の中で、天球儀の星たちが、
星座の形となって、淡い緑色に光った。
「すげー・・・」
思わず電気を消してしまったけど・・・
拓人は斜めがけのリュックを外して、ジャケットを脱いだ。
そしてそれを右手に持ち、
私の前に立った。
そして左手を伸ばしてきた。
パチッ
拓人は私の後ろにあった電気のスイッチをつけた。
パッと部屋が明るくなり、
目の前で首を傾げて私の見ている拓人がはっきり見えて、
急に恥ずかしくなった。
顔が熱い・・・
「これ、どっか置いといて」
そう言ってリュックとジャケットを私に渡してきた。