「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「言ってくれなきゃわかんないよ・・・」
私は、拓人の引っ張る力に負けないぐらい、
拓人に抱きついた。
「あのなー・・・」
「うん」
私は拓人の頬に自分の頬を寄せた。
「ちょっ・・くっつくなよ・・・」
顔を背けて嫌がる拓人がかわいくて、
さらにぎゅっと抱きついた。
「我慢できなくなったらどうすんだよ・・・やめろって・・」
「我慢・・・してるの?」
「当たり前だろーが!
これからお父さん帰ってくるんだろ?
下にお母さんいるんだろ?
もう・・あんま俺をいじめんなよ・・・」
自分の顔の横にある私の頭を、
ポンポンとあやすように撫でてから、
私の腕をほどいた。
「ごめん・・・ね」
私は拓人の隣に座り直した。
拓人は頭を抱えてしまった。
「どうしてくれんだよ・・こんな・・」
「こんな?」
私は隣から拓人の顔を覗き込もうとした。
「見んな・・・・!!
・・・・・っていうかさー!!」
顔を上げた拓人は、耳まで真っ赤な顔をしていた。
「お前、ほんっっっと覚えとけよ!!
もう、ほんっっっとお前・・・覚えとけよ!!」
大きな手を伸ばして、私の前髪をぐしゃぐしゃにした。