「1/4の奇跡」左側の君に【完】





その時、




下から玄関のドアが開く音がした。





「あ・・・お父さん帰ってきたかも」



「マジか・・・」




手でパタパタと自分の顔を仰いでいる拓人。




「大丈夫?」


拓人の膝に手をのせて、顔を覗き込んだ。


「大丈夫・・って、誰のせいだと思ってんだよ・・・」



ちょっと睨まれて、膝から手を離した。








「星・・・見る?」



「はあ?なんでこのタイミングで星なんだよ・・」



私は立ち上がって窓を開け、空を見上げた。




「ほら、もう見えるし。


星見ると、イライラした時とか落ち着くから・・・」






拓人も立ち上がって、窓から空を見上げた。




「そこのサンダル履いて。


私、電気消してくるね」






拓人はベランダに置いてあったサンダルを履いて、


ベランダに出た。



部屋の明かりが星の光を邪魔しないように、


部屋の電気を消して、


私もサンダルを履いてベランダに出た。




「もう少し、目がこの暗さに慣れれば、


もっと星がたくさん見えるようになるよ」




私たちは一緒にベランダから空を見上げた。





「部屋からこんなにたくさん星が見えるなんて、



すげー贅沢だな・・・




俺んちなんて、窓から下見た方が星っぽいよ」






ベランダの柵に両肘を乗せて拓人が笑った。








「ほんとだな・・・星見ると落ち着くんだな・・・」







トントン

「花音入るぞー!」





ガチャッとドアが開き、



拓人と二人で、バッと振り向いた。






「なっ!!!なっ!!!なんで電気消しているんだ!!




こっ・・・こらあああ!!!!!」



パチっとお父さんが電気をつけて、


部屋が明るくなった。






< 195 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop