「1/4の奇跡」左側の君に【完】







「お父さん!!」



「何!!何してるんだ!!」



お父さんはずかずかと部屋に入ってきた。




「星!!星を一緒に見ていたの!」



「何!星???」




お父さんは立ち止まった。





「部屋の電気消した方がたくさん星が見えるって


お父さんが教えてくれたことじゃん。




だから・・・星!!星見てたの!」




お父さんは、「はぁ・・」とため息をついた。



「星か・・・」


「星・・だよ」


「拓人くん・・星か?本当に星か?」




拓人が「えっ」とちょっと驚いていたから、


私は拓人の着ていたカーディガンの裾を引っ張った。



「あっ、星・・・です」






「そうか。びっくりしたよ。



あぁ・・合格したって。おめでとう。




ご飯待たせて悪かったね。



じゃあ・・・下に来なさい」







お父さんはまた「はぁ」とため息をつきながら、


部屋から出ていった。




「びっくりしたのはこっちだよ・・もう。。

いきなり入ってきて。


拓人・・ごめんね」



拓人はまた空を見上げていた。




「ほんとだ・・部屋の明かりがつくと星の数が減るんだな」






いつまでも見上げている拓人の横顔が、あまりにも綺麗だったから、


私は背伸びをして、拓人の頬にチュッとした。





「バカ!せっかく落ち着いたのに、何してんだよ!!」



拓人は頬を手で抑えた。





「下に行こ?」





私は拓人の手を引っ張った。









「ちょっと・・もうちょっと待ってくれ・・・」








拓人は手を繋いだまま、



手で頬を抑えたまま、



また、空を見上げた。





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