「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「そうだったの・・・お父さん」
お父さんは「はぁ」とため息をついた。
「いいんですか?」
拓人がそう聞くと、お父さんは顔を真っ赤にした。
「よくない!
よくはない・・・
本当は嫌なんだ。
でも、花音が1番喜ぶ合格のお祝いは、これだろ。
花音が喜ぶことをしてあげたい」
お父さんはぐーっとビールを飲んだ。
「お父さん、花音ももう子供じゃないんだから。
ねぇ?もう大学生になるんだもんね」
拓人はいつまでもお箸を持ったまま、何も食べずにいた。
「花音も、大学生になって、
就職して、
結婚して、
お母さんになるのよ。
お父さん、楽しみね」
お父さんはまた「はぁ」とため息をついた。
「幸せになってくれればそれでいい。
大事な大事な一人娘だ。
幸せになってほしい。
かわいいからって、
親がいつまでも縛り付けて手元に置いておいたら、
ダメなんだな・・・
結婚して、子供を産んで・・・
そうだな・・・花音には本当に幸せになってほしい」