「1/4の奇跡」左側の君に【完】
目の前にジャケットを差し出されたから、
両手でそっと持った。
そして抱きかかえるようにジャケットを持つと、
自分とは違う匂いがした。
和泉はワイシャツの袖をまくった。
顔が小さいせいか、
制服を着ていると、一見華奢に見えるけど、
まくった袖の下から、
想像とは違う筋肉質な腕が見えた。
和泉は一つ大きめのダンボールを選んで、
箱の形に組み立て、
その中にどんどんダンボールを突っ込んでいった。
「15箱が限界だな・・・」
大きめのダンボールだったけど、
14箱しか入らなかった。
すると、和泉は14箱入ったダンボール箱を
一人で軽々持ち上げた。
「15箱でとりあえず行こう。
お前はジャケット持ってろ」
そんな・・それじゃ私の来た意味が・・
「和泉だけに持たしたら悪いし・・
私、5箱ぐらい持てるよ。
だって、20箱って言われたんでしょ?」
そう言って和泉にジャケットを返そうとした。
「20箱ぐらいって言ってたから、
とりあえず15箱で大丈夫だと思う。
それに・・」
・・・それに・・?
「足りないって言われたら、
また取りにくればいいだろ」