「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人は少し俯いていた。
「拓人くん?食べてる?」
拓人はハッとして顔を上げた。
「あ・・すみません」
拓人はやっとごお寿司を小皿に取った。
「拓人・・・大丈夫?」
「あぁ・・うん」
拓人は一口でお寿司を食べた。
「そういえば、花音のお友達ももうすぐ赤ちゃんが生まれるのよね」
「うん。さっきお腹の子は男の子ってメールがきたよ」
お母さんは両手を合わせて喜んでいた。
「そう!男の子なの!
生まれたらお母さんも見に行きたいわ~」
「莉子に言っておくよ」
「うん。赤ちゃんを見るなんていつぶりかしら・・・
他人の子でもこんなに楽しみなのに、
花音の子が生まれる時なんて・・・ねぇ!!
おとうさん!!
もう、大騒ぎしちゃうかしらね!」
お父さんは、2本目のビールをプシュッと開けた。
「大騒ぎなんてもんじゃないだろ」
そしてまたぐぐぐーっとビールを飲んだ。
・・・やばい
このままじゃまたお父さんが酔っ払って、
拓人に絡みだしてしまう・・・