「1/4の奇跡」左側の君に【完】
部屋のドアを叩く音がして、
ベッドから起き上がり、ドアを開けた。
そこには、目を真っ赤にした母親が立っていた。
母親は手話で語りだした。
《結果聞いた?》
今にも泣き出しそうな顔の母親に、俺は深く頷いた。
すると母親は、涙を流して
《ごめんね》の手話を繰り返した。
何度も何度も繰り返し、
そして、泣き崩れた。
俺も母親の前にしゃがみこんだ。
肩をトントンと叩くと、
母親が顔を上げた。
《私のせいで、拓人に苦しい思いをさせて
本当にごめんね・・・》
俺は、思いっきり首を振った。
そして、ハハッと笑いかけ、
手話で語りかけた。
《全然気にするなって!!
俺は、大丈夫だよ!!
おかんには、感謝している。
俺を産んでくれて、ありがとう!って
本当にありがとう!!って思ってんだよ!!》
俺は、思いっきり笑顔を作って、
母親の肩を叩いた。
俺が落ち込んでいたら、母親はもっとつらくなる。
そうだよな・・・
俺は、いつまでも泣いている母親の肩を
泣き止むまでずっとさすっていた。
もうこのことで、
俺が落ち込むのはやめよう・・・そう思った。
++++++拓人side end++++++