「1/4の奇跡」左側の君に【完】
卒業式も終わり、
教室に戻ると、
みんな笑い合ったり、泣き合ったり、
先生と抱き合ったりして、別れを惜しんでいた。
「花音」
私の元に詩織がきた。
「詩織・・・」
詩織はギュッと私を抱きしめてきた。
「ずっと友達だよ・・私と花音と・・・莉子は」
私は詩織の胸の中で頷いた。
「なんかあったらいつでも飛んでくから。
ひとりで悩まないで、私にメールでも電話でもしてきてよ!
わかった?」
私は、また何度も頷いた。
「詩織・・友達になってくれてありがとう」
詩織は私の頭を優しく撫でた。
「来月は莉子の赤ちゃんが生まれるから。
その時は、一緒に見に行こうね」
「うん」
「あ・・・和泉がきた。
和泉!ヤキモチ焼いてんでしょ~」
わざと詩織は、ぎゅーっと抱きしめてきた。
「焼かねーよ。てか、何やってんだよ」
「愛し合ってんの!」
詩織が私を離して、くるっと拓人の方へ私を向けた。
「花音をこれからもずっとよろしくね」
トンっと私の背中を押した。
私は拓人の元へ行って手を繋いだ。
「詩織・・・またね」
詩織は「うん」と泣きそうになりながら頷いた。
そして、
私たちは、
私たちの出会った学校を、
卒業した。