「1/4の奇跡」左側の君に【完】
和泉はダンボールを抱えて歩き出した。
私は少し走って、和泉の隣に並んだ。
「その時は私も一緒に行っていいんだよね・・?」
和泉の顔を下から覗き込んだ。
「当たり前だろ、さぼるな」
しばらく和泉を見ていたら、
硬い表情だった和泉の顔がふっと緩んだ。
その笑顔にきゅんとしちゃって、
抱えていた和泉のジャケットをぎゅっとした。
今、夕方でよかったって思った。
真っ赤な夕焼けの世界で、
なんでも赤く見えるから。
私がこんなにドキドキして顔が熱くなっていることも、
和泉はきっと夕焼けのせいだって思うから。