「1/4の奇跡」左側の君に【完】
レストランを後にすると、
「映画でも見ちゃうか!」
と、今度はショッピングモール内の映画館に、
私を引っ張っていった。
チケット売り場で、並んでいる時、
「拓人・・今日どうしたの?」
と、顔を覗き込むと、
拓人は私の頭をガシガシと撫でた。
「なんか、今日はいっぱい色んなことをしたい気分なんだ。
悪いけど・・付き合ってくれよ」
あははっとまた笑う拓人に、
だんだんと不安になってきた。
・・・なんか変だ・・・拓人。
拓人は、よくわからないアクション映画を選んで、
二人で映画館に入った。
私はアクション映画なんて全然興味がないから、
正直つまらなくて、
隣にいる拓人をチラッと見たら、
拓人は、私を見ていた。
「どうしたの?」
左耳にそう言うと、
「つまんねー」と言って笑った。
大きな目をくりっとさせて笑うから、
綺麗な前歯を見せてニコっと笑うから、
私は拓人の笑顔が大好きなんだけど
だけど、
やっぱり変だ・・・拓人・・・