「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「帰るか・・・花音」
拓人は立ち上がった。
下を向いて泣いていたら、
首元から星時計が、目の前に垂れてきた。
私は顔を上げ、拓人の前に立った。
そして星時計を首から外し、
拓人の手を取って、掌にそっとのせた。
「これ・・・返すね」
拓人の手を離した。
拓人は星時計を見つめた。
「いや・・これは花音が・・・」
星時計を差し出してきた拓人の手を、
私は止めた。
「持ってても辛いだけで、
意味ないから・・・
これを見るたびに、拓人を思い出して、
涙が出ちゃって・・・
こんな小さな穴から、
北極星を探して時間を調べるなんて、
私にはもう・・・できないから・・・
捨てることもできない
だから・・・拓人が捨てて」