「1/4の奇跡」左側の君に【完】
教室にはもう誰もいなかった。
薄暗い教室に入ると、
和泉は教室の隅にダンボールを置いた。
「重くなかった?大丈夫?」
肩を軽く回している和泉にそう声をかけた。
「大丈夫だよ」
「また、部活に戻るの?」
「戻んねーよ。部室に荷物取りに行って帰るよ」
「・・・あのさ、
・・・あの・・・その・・・」
モジモジしている私の前に和泉がきた。
「なんだよ」
「和泉って・・電車通学?」
和泉は、はあ?と首を傾げた。
「そうだけど?」
和泉はまくっていた袖を直し始めた。
「じゃ・・さ・・
一緒に帰ろ・・」
もっと和泉と一緒にいたいって素直にそう思った。
もっと和泉を知りたいって。
でも、断られたら・・ショック・・・
和泉は私が抱えていた自分のジャケットを掴んだ。
「お前ん家、どこ?」