「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人はぎゅっと星時計を握りしめた。
「わかった」
そしてジャケットのポケットにしまった。
「じゃあ・・・行くか」
くるっと駅の方を向いてしまった拓人の左手を、
もう、つなぐことができない。
どうしてこんなことになってしまったの・・・・
全然わからない。
エスカレーターに乗っても、
後ろを振り返ることもできない。
目が合うと、「見んな」って怒られることも
もう、ないんだ・・・
ばーかって叱られることも
もう・・・ないんだ・・・
すぐ後ろにいるのに、
振り向くことも、
触ることも、
もう、できないんだ・・・
私は拓人の方を向くことなく、
そのまま改札を抜けて、
ホームへ分かれるところまで来た。