「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「拓人がよかった・・・
私を幸せにできるのは、
拓人しかいないのに・・・」
拓人はゆっくりと、私を離した。
「俺には・・できない」
そっか・・・
やっぱりダメなんだね・・・
「もう、行けよ。
お前が先にホームに行け」
私は首を振った。
「行けって。俺・・・こっから見送るから」
私は一度考えてから、
しかたなく、ホームへ続く階段の方へ歩き出した。
階段の手前で、振り向いた。
拓人は何回も頷いていた。
私も頷いて、
階段を下りた。
しばらく向いのホームに拓人が下りてくるのを待った。
でも、いくら待っても拓人は下りてこなかった。
電車を1本、また1本見送って・・・
一時間ぐらい待った時、
拓人がホームへ下りてきた。
拓人は私を見るなり、
くるっと背を向けた。