「1/4の奇跡」左側の君に【完】
お箸を持つ手がガタガタと震えて、
左手で抑えても抑えても、震えが止まらない。
「なんか・・・手がおかしいな・・・あははっ」
私はお箸を置いた。
「ただいまー!花音卒業おめでと・・・う・・・」
お父さんが帰ってきて、
リビングのドアを開けたまま固まった。
「どうした・・・花音」
「なんでもない!なんでもない!
ありがとう、お父さん。
あはははっ・・・
あ、そうだ。
せっかくコテージ予約してもらったのに、
ごめんねって感じなんだけど・・・
キャンセルってことで。
キャンセル料は、ちゃんとお小遣いから・・」
「そんなことはいい」
お父さんは、スーツのままテーブルの椅子に座った。
「どうしてキャンセルなんだ。
拓人くんがそう言ったのか?
もしかして、お父さんに気を使ったのか?
それだったら、気にしなくて・・・」
「別れたの」
お母さんは、お茶碗とお箸を置いた。
「え・・・そんな・・・どうして?」
お母さんは私の顔を覗き込んだ。
「わからない。
わからないんだけど、
突然、
お互い頑張るために、別れようって」