「1/4の奇跡」左側の君に【完】
詩織が注文したパスタが、拓人の注文したパスタと同じで、
だんだんと、つらくなってきてしまった。
「花音・・・?食べないの?」
まだ、詩織にも莉子にも拓人と別れたことを話していなかった。
泣き出してしまいそうだったから。
泣いたら、心配かけてしまうから。
さらっと明るく言える日まで、
黙っていようと思っていた。
私、今・・・言える?
笑って言える?
言えない・・・まだダメだ・・・
「和泉は元気?一人暮らししてんでしょ?」
もぐもぐしながら、詩織に聞かれて、
今はまだ明るく話すことができないと、
自問自答したところだったから、
何も言えずに黙ってしまった。
「どうした?なんかあった?」
「あのさ、違う話していい?」
詩織は、「へ?」と一度フォークを置いて、
ペーパーで口元を拭いた。
「違う話はダメ。ちゃんと話な。
ちゃんと聞くから。
どうした?」