「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「S駅・・・」
私は、ジャケットを離した。
「S駅?ずいぶん遠くから来てんだな。
俺とは逆方向だから・・・」
・・・これって遠回しに断られているのかな・・
和泉はジャケットを着た。
「ごめんな・・」
・・・・えっ・・・
そっか・・そうだよね。
ただ、ダンボールを取りに行く係だっただけ。
そうだよね。
もう、仕事は終わったんだから、一緒に帰るなんて・・
私、ちょっと調子にのってたかも、
もしかしたらって。
もっと一緒にいれたらって・・
「そんな、そんな・・いいの。
一緒に帰れたらって・・ちょっと思っただけで。
今言ったこと全然気にしないで!忘れて!」
私は、急いで自分のバッグを持って、教室から出ていった。
階段を降りようとした時、ぐっと腕を掴まれた。
振り向くと和泉が真剣な顔で私を見ていた。
「駅まででごめんなって意味だ、ばーか。
勘違いすんな」