「1/4の奇跡」左側の君に【完】
緒川くんはコーヒーを飲んで、
テーブルに置いた。
「俺は、院に進むよ。さみしくないか?」
私はあははっと笑った。
「さみしくなんかないよ。何言ってんの?
大学院、頑張ってね」
緒川くんは真剣な顔で私を見つめてきた。
「俺、似ているんだろ?花音の元彼に。
まだ、忘れられないなら、
俺、そいつの代わりでもいいから、
付き合わないか?」
何度その言葉を、緒川くんに言われただろう。
その度に、拓人の顔が浮かんできて、
忘れられないって断って・・・
自分でもわかってる。
もう、戻るはずのない、
戻ることのできない、
拓人は遠い存在だってこと。
緒川くんは、
いつも優しくそばにいてくれて、
すごく近い存在だってこと。
4年間、ずっと一緒だった。
私は緒川くんを見つめた。
でも、やっぱり・・・・・
私は拓人がいい・・・
バカだな・・・私。
どうして他の人じゃダメなんだろう。
どうして緒川くんを好きになれないの?
頭もよくて、優しくて・・・
いつもそばにいてくれる。
なのに、どうして・・・?