「1/4の奇跡」左側の君に【完】
●社会人
気持ちの整理
私は大学院には進まずに、
希望通り、N科学館に就職し、
【科学コミュニケーター】として働き出した。
科学コミュニケーターとは、
科学館に来てくれたお客様に、展示物の説明すること。
どれだけわかりやすく丁寧に説明できるかがポイントで、
先輩方に時には厳しく指導してもらっている。
最初は緊張してなかなかうまく話せなかったり、
自分しかわからない専門用語を使って説明してしまったりと、
失敗の連続で、落ち込んでばかりいた。
でも、実演などの経験も積んで、
イベントの企画もさせてもらったりと、
任期終了5年目には、
だいぶうまく説明できるまでになってきていた。
任期5年目ということは、
私ももう27歳。
詩織は看護学校の後、助産師の学校へ進み、
今は、病院の助産師として働いている。
莉子は、あれからもう一人男の子を出産し、
2児の母。
私は、
仕事が大好きになってしまって、
もうこのまま、
仕事一筋に生きていこうと決意していた。