「1/4の奇跡」左側の君に【完】
N科学館で5年間の任期を終え、
私は最終目標の、
お父さんのいる星空天文台に、研究員として就職をした。
事務の真壁さんは、今年で定年で、
ぎりぎり一緒に働くことができて、
よかったな・・・と思った。
家では優しいお父さんだけど、
仕事では厳しく、
でも時々、「うれしいな~」と笑って、
娘と一緒に働くことを、とても喜んでくれた。
4月から星空天文台で働き始めて5ヶ月が過ぎた
9月の末、
朝、真壁さんが
「10月の21日に小学校の遠足がひと組来るからね。
よろしくね」
そう言ってプリントを渡してきた。
「・・はい。わかりました。
なるほど・・
大丈夫です。人数も15名とのことで・・・
私、がんばります!」
真壁さんは、目尻を下げた。
「頼もしいね・・・よろしく頼むよ」
真壁さんは、科学館の方へ歩いて言った。