「1/4の奇跡」左側の君に【完】
私は思わず、ぐっと深くお辞儀をして顔を隠した。
どうしよう・・・拓人だ。
相変わらず線が細くて、
顔が小さくて、黒髪が外ハネしていて・・・
どうしよう・・・私、普通でいられない・・・
私はどうしようもなくドキドキしてしまっている胸を抑えた。
もう、拓人のことは、
胸の奥にしまっていたのに、
もうあまり、思い出すこともなくなっていたのに、
仕事に生きていこうって、
もう、拓人のことは思い出になっていたのに。
目の前に突然現れた約10年後の拓人に、
別れた時と同じように、
体が震えだして止まらなくなってしまった。