「1/4の奇跡」左側の君に【完】
はしごに子供たちが並んだ時、
少し離れて見ていたお父さんの元に、
拓人が歩いて行くのが見えた。
すると、
お父さんは避けるように、
奥の研究室に入ってしまった。
拓人はまた、こちらに戻ってきた。
私はレンズを覗く子供たちのサポートをしていた。
通訳にベテランの先生が入ってくれて、
なんとか、質問にも答えてあげられたし、
子供たちも真剣に覗いてくれたから、
私は嬉しくなった。
拓人のことで、気持ちが落ち着かなかったけど、
子供たちの真剣な眼差しに、
気持ちが落ち着いてきた。
全員が覗き終わって、先生たちも覗いてみることになった。
私は横で立って見ていた。
拓人は何も言わずに、レンズを覗いていた。
「和泉先生。お昼にしましょうか」
ベテランの女の先生がそう言って、
拓人が子供たちに手話をしたら、
子供たちが一斉に、広場に走り出した。