「1/4の奇跡」左側の君に【完】
説得
もう少しメガネの拓人を見ていたかったけど、
残念ながら、メガネは外して降りてきた。
玄関の扉を開ける前に、拓人は大きく深呼吸した。
「大丈夫だよ・・拓人。
私がちゃんと説得するから」
拓人は私の頭に大きな手をのせた。
「お前は、黙ってろ。
絶対に口挟むなよ。
俺が、ちゃんと話すから」
頭をぽんぽんと私をあやすかのように撫でた。
私は、小さく頷いて、
そっと玄関の扉を開けた。
「ただいま・・・」
いつもよりも小さな声で言ったら、
リビングからお母さんが出てきた。
「あら・・・わあ・・・・拓人くん?」
拓人は、頭を下げた。
「お久しぶりです。すみません突然」
お母さんは、ポロポロと泣き出した。
「もう・・・お母さん」
お母さんの肩を優しく叩くと、
リビングからお父さんも出てきた。
「何しにきた」