「1/4の奇跡」左側の君に【完】
お父さんの顔は、強ばっていて、
かなり怒っていることが伝わってきた。
「すみません。
ちゃんと話をさせてください。
お願いします」
拓人は、深く頭を下げた。
「こんなところじゃ・・ね、お父さん。
中に入ってもらいましょうよ。
ご近所の手前もあるし・・・ね」
お母さんは、スリッパを二つ玄関に並べた。
「中で聞く。入れ」
お父さんは、そう言ってリビングに戻っていった。
「おじゃまします」
拓人はまた頭を下げて、
玄関の中に入った。
「ごめんなさいね。せっかく来てくれたのに。
夕飯は食べたの?」
私は首を振った。
「じゃあ・・食べて行ってね。
拓人くん時間は大丈夫?
明日土曜日だけどお仕事?」
「いえ、土日は休みです」
「拓人、小学校の先生しているの」
お母さんはリビングに入りながら、
「へえ」と驚いていた。
テーブルには、ご飯の最中だったのか、
ご飯が並べてあった。
拓人は、前と同じ場所に座り、
私もその隣に座った。