「1/4の奇跡」左側の君に【完】
拓人は、テーブルに頭がぶつかるんじゃないかと思うほど、
頭を下げた。
「なんで、幸せにできないと思ったんだ。
迷惑をかけるって、なんだ。
そんなの、許せるわけないだろ」
拓人は、ぐっと顔をあげた。
「僕は、高校の卒業式直前に、
遺伝子検査の結果を聞きました」
卒業式直前・・・
「遺伝子?」
お父さんとお母さんは目を見合わせた。
「僕は、右耳が聞こえません。
母は生まれつき両耳聞こえません。
僕は、難聴の遺伝子を持っていることが検査でわかりました。
だから、他の人よりも、
耳の聞こえない子供が生まれる確率が高くて、
1/4の確率で、
耳の聞こえない子どもが生まれてきます。
孫を楽しみにしてるお父さんとお母さんには、
本当に迷惑をかけてしまうかもしれません。
心配をかけてしまうかもしれません。
でも、僕はもう、
花音さんと離れたくないです。
結婚したいと思っています」