「1/4の奇跡」左側の君に【完】
娘の結婚相手・・・
「お父さん・・・」
お母さんは、ご機嫌でキッチンからビールとコップを持ってきた。
お父さんは拓人にコップを渡した。
「拓人くんの、思いはよくわかった。
君は、強いな・・・
高校生の時に、
自分の遺伝子の事を知るなんて、
つらかっただろうに・・・
安心しろ。
迷惑なんて思っていない。
心配もしていない。
子供を作るななんて、そんなこと言うわけないだろ。
それは、花音と二人で決めなさい。
殴って悪かったな」
お父さんは拓人のコップにビールをついだ。
「いえ・・・・・
ありがとうございます」
お父さんも自分のコップにビールを入れた。
「花音。よかったな・・・
ずっと思い続けていたんだもんな。
見ていてつらいぐらいだったよ。
そうか、
そうだったのか・・・」
それから、お父さんは
「そうか。そうだったのか・・」と何度も繰り返していた。