「1/4の奇跡」左側の君に【完】
お母さんは、座っていた私の隣に立って、
私を抱きしめて、頭を優しく撫でてくれた。
お母さんに抱きしめられたのって、
頭を撫でられたのって、
いつぶりだろう。
お母さんは何も言わずに、
私が泣き止むまでずっと撫でていてくれた。
時々お母さんの方から鼻をすする音がして、
なかなか涙が止まらなかった。
そしたら、なぜかお母さんはケタケタと笑い出して、
私が顔を上げると、
あはははっと笑って、私の涙をエプロンで拭いた。
「こんなに泣いたの久しぶりで、
泣きすぎて笑っちゃったわ!
あはははっ!!
さ!お風呂お風呂!お母さん先入るわね!」
お母さんは、お父さんと同じように、
和室の拓人をチラッと見てから、
リビングから出ていった。