「1/4の奇跡」左側の君に【完】
刻印
天文台に先に着いていたお父さんを見かけて、
私は走り寄った。
「お父さん・・・私、
コテージに拓人と泊まってもいいかな・・・」
お父さんは、微笑んだ。
「何年越しの約束だ?
本当によかったな・・・花音。
今は混雑する時期じゃないから、すぐ予約できるだろう。
あとで、コテージの事務所に行ってきなさい。
有給取ってもいいからな・・・遠慮するな」
私は首を振った。
「土日予約して、昼間は普通に働こうと思って。
場所は同じだから」
ははははっとお父さんは大笑いした。
「それはすごいな。拓人くんかわいそうに。
まあ・・・二人で決めなさい」
お父さんは研究室の方へ行ってしまった。
いつものように、日課をこなして、
お昼休みに、携帯を見ると、
拓人から、アドレスと携帯番号だけ書かれたメールがきていた。
・・・これだけ?
相変わらず素っ気ないメールに笑ってしまった。
そのまま携帯を持ったまま、
コテージの事務所に歩いていった。