「1/4の奇跡」左側の君に【完】
その日は、時間が経つのがゆっくりに感じた。
まだ、3時
まだ、4時・・・
まだ、夕方・・・・・・
やっと日が落ちてきて、閉館の音楽が鳴った。
「よかったね・・・花音ちゃん」
受付で真壁さんにそう声をかけられた。
「さっき葉月さんから聞いたよ。
さみしそうだったけど、
嬉しそうにも見えた。
僕もうれしいよ・・・おめでとう」
私は真壁さんに微笑んだ。
「ありがとうございます」
その時、お父さんも近づいてきた。
「今夜なら、まだオリオン座流星群が見られるかもしれない。
まあ・・ゆっくり空を眺めてみなさい」
3人で話をしていたら、
大きな私のバッグを持った拓人が現れた。
「拓人・・・何その・・・」
「いや・・・花音のお母さんが全部持っていけって・・・」
お父さんと真壁さんは手を叩いて大笑いした。