「1/4の奇跡」左側の君に【完】
コテージに戻り、
シャワーを浴びると、
ふたり、それぞれのベッドに入った。
薄暗い部屋、
ベッドから見える大きな天窓には、満天の星空。
「拓人」
隣のベッドの拓人に声をかけた。
「ん?」
「そっち行ってもいい?」
「・・・・・」
あれ・・・返事がない。
「拓人?」
拓人の方を見ると、
拓人は天窓をじっと見ていた。
「こっちきたら、俺・・・
我慢できねーぞ」
私は、立ち上がって、拓人の布団の中に入った。
「今、俺言ったよな・・・」
私は拓人の胸に頬を寄せた。
拓人の心臓の音が・・・めちゃめちゃ早い・・・
ガバっとひっくり返されて、拓人が上から私を見つめた。
私を見下すような表情で、ゆっくりと私の唇を狙ってきた。
捉えられた唇は、息もできないほど苦しく、
そのまま首筋をつたう拓人の熱を帯びた唇に、
思わず、声が漏れる。
初めて見る拓人の肌
初めて感じる拓人の体温に、
抑えきれないものが溢れ出す。
「花音・・・」
色っぽい表情で私を見下ろす拓人の綺麗な鎖骨に、
指を這わせると、
左手の薬指が小さく輝いた。
そのまま首の後ろ手をまわすと、
拓人の襟足の髪が指に触れた。
拓人に刻みつけられる、初めて感じる痛みに・・・
・・・・・・・・・・・
私に倒れ込んだ拓人の背中をなでると、
じっとりと汗が指に絡みついた。
私の胸に感じる、自分とは違う鼓動
回した手に感じる、自分とは違う呼吸
拓人の全てをずっと感じていたい
そうか・・・もうずっと感じていられるんだ
手を伸ばせばすぐに
すぐ、そこに・・・・・・