「1/4の奇跡」左側の君に【完】
『和泉の母ちゃん、何喋ってんのかわかんねーな!
あはははっ!!!』
『宇宙人なんじゃん???
宇宙人!!宇宙人!!』
『和泉も宇宙語しゃべってみろよ!!あはははっ!!!』
小学校1年の頃、
母親の言葉を馬鹿にされて、
手話や話し方をからかうように真似されて、
いつしか、心を閉ざしていった。
その時、小学校の担任が、俺を守ってくれなかったら、
俺はきっと、不登校になっていたと思う。
担任に勧められて、ミニバスに入った。
『何かひとつ特技を持て!
それが和泉の強みになる!』
そう、言われた。
バスケをしている時だけ、嫌なことを忘れられた。
バスケのおかげで、誰も俺をバカにしなくなった。
でも、中学の時に、自分の耳も聞こえにくくなって、
もう、全てが嫌になった。
「どうせ・・」
「別に・・」
「関係ないし・・・」
そんな言葉が口癖になっていた。
何もやる気がしなかった。
マイナス思考で、
なんでも諦めて。
両耳聞こえなくなってもいいし。別に。
バスケできなくなっても、やっぱ俺ってそんなもんだしって。
机に伏せて寝てばかりいた。
もう、生きている意味もわからなかった。
いつ死んでも構わないって、
そう思っていた。