「1/4の奇跡」左側の君に【完】
一気に顔が熱くなっていくのがわかった。
「あらら。
とってもわかりやすいのね。
じゃあ・・職員室にいってこよ~」
先生は私の肩をぽんとたたいて、
保健室から出ていった。
窓から優しい風が吹いてきて、
和泉の寝ているベッド周りのカーテンが
ふんわりと揺れた。
遠くで生徒たちの笑い声がしたけど、
本当に和泉が、
このカーテンの向こうで寝ているんだろうかと疑ってしまうぐらい
とても静かな保健室だった。
私は座っていた丸椅子をくるっと回して、
立ち上がった。
カーテンの隙間から中を覗くと、
布団の向こうに頭が見えた。
・・・本当に和泉が寝ているんだ。
「和泉?」
小さな声で呼んでみた。
和泉は動かない。
私はカーテンの中にそっと入って、
枕元の椅子に座った。
和泉はこっちを向いて、ぐっすりと眠っていた。
かわいい寝顔・・・
「和泉?
和泉・・拓人・・・
拓人・・・」