「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「とりあえず一回デートしてみる?」
夏目先輩が顔を覗き込んできた。
「しないです。
私、好きになった人としか、デートとか無理なんで」
私は夏目先輩を少しにらんで、そうはっきり言った。
「じゃあ、俺のこと好きになってみる?」
ますます顔を近づけてきた。
私は、夏目先輩から顔を背けた。
「きっと好きになるよ。俺のこと」
夏目先輩は耳元でそう囁いて、
私の肩をポンポンと軽く叩き、その場を立ち去った。
ふと、視線を感じて周りをみると、
女子たちが、白い目で見ていた。
・・・だから変な噂が流れるんだよ。
「花音大丈夫?
夏目先輩・・なんだって?」
莉子がやっときて、私の前に座った。
「・・・大丈夫、なんでもないって。
早く食べよ」
私はお弁当の蓋を開けた。