「1/4の奇跡」左側の君に【完】
医者はカルテをじっと見てから、
俺の方を向いた。
「就職のことは、とにかく万が一悪くなった時のことを考えて、
手に職というか、一生続けることのできる仕事につけるように
大学なり専門なりをみつけるといい。
結婚は・・・
そうだな・・・
こればっかりは、相手のあることだ。
相手の家族のこともある。
相手にも相手の家族にも理解してもらうしかない。
どうした?彼女でもできたのかい?」
医者は優しく微笑んだ。
「好きな子が・・・できたんだ。
その子も俺に惹かれているって言ってくれたんだ。
でも、もし俺の体のことを知ったらどう思うかとか、
離れていくんじゃないかとか、
でも逆に、同情されるのも嫌だし。
なんかいろいろ考えすぎて。
付き合ったとしても、もし母親みたいになったら、
結局・・・無理じゃん。
やっぱ俺は、
人を好きになっちゃいけないんじゃないかって。
大切に思うなら、
付き合うとか、
そんなのやめといた方が、
相手のためなんじゃないかって、
思うんだ」